活動トピックス

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メッセージ

知的財産法の第一人者である中山信弘東京大学名誉教授から意見書をいただきました

中山信弘氏
東京大学名誉教授
弁護士(西村あさひ法律事務所)2012年 紫綬褒章受章

中山先生は、東京大学教授、文化審議会委員、知的財産戦略本部員等を歴任され、日本における知的財産法の第一人者として現在も広くご活躍中です。
意見書の概要は以下のとおりですが、是非全文をお読みいただきたいと存じます。

なお、この意見書は現在係争中の裁判に証拠として提出した他、文化審議会にも有識者意見として提出しております。

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山田奨治教授からのメッセージ

国際日本文化研究センター 山田奨治教授

日本の人口はもう増えることはない。とりわけ若い層の減少は、これからの産業構造に大きな変化をもたらすだろう。音楽産業だってその例外じゃない。放っておけば縮んでいってしまうパイをどうやって増やすのか、音楽業界の盛衰はそこらへんにかかっている。

音楽家や音楽ファンを育てることに、民間の音楽教室が大きな役割をはたしていることは、誰の目にもあきらかだ。ところが、このたびのJASRACの動きは、音楽教室を弱らせるベクトルを持っている。人口減に逆らって音楽家や音楽ファンを増やさなくてはならないときに、それって方向性としてどうなのだろうか?

包括契約なら使用料は受講料収入のたった2.5%だから、それくらいは払えとJASRACはいうが、利益率がそれだけ減れば音楽教室には打撃になる。結局、新たな負担を生徒に求めざるをえない。たぶん、著作権の切れたクラシックしかやらない生徒にも。

JASRACが掲げる「音楽文化振興」のためには、音楽教室に負担してもらうのではなく、むしろ豊富な資金を使って小さな教室を支援してはどうだろうか。JASRACの公共性を高め世論を味方にするには、それくらいの思い切った方向転換が必要だと思うが。

山田奨治 氏
情報学者、文化研究者、国際日本文化研究センター教授、総合研究大学院大学教授。著書に『日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか』(2016人文書院)、『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(2011人文書院)など。
http://www.yamadashoji.net/

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音楽教育を守る会
会長 大池真人

平素は「音楽教育を守る会」の活動に、多大なるご理解とご協力をいただき厚く御礼申し上げます。
2020年2月、東京地方裁判所が日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室からの著作物使用料の徴収を認める判決を出しました。私ども364の音楽教室事業者でつくる「音楽教育を守る会」の主張が認められなかったことは大変遺憾であり、3月4日に知的財産高等裁判所に控訴致しました。

今回の地裁での判決は1988年の最高裁判決の所謂「カラオケ法理」をそのまま当てはめた「結論ありき」の判断であったと感じます。
「著作者は公衆に聞かせることを目的として演奏する権利を有する」(著作権法第22条)とありますが、通常のレッスンの形態(先生と生徒の1対1、あるいは生徒5名程度のグループレッスン)が「公衆」とは、一般的な感覚からはとても思えません。また、音楽教室で行われるレッスンでの練習や指導の音楽は、完成に近づけるための「未完成の状態」であり、「聞かせる」ための演奏とは言えません。一方、カラオケやダンス教室での音楽利用は「完成された状態」の音楽を流すのですから前提が全く異なります。

1970年、現行の著作権法が制定された当時、すでに民間の音楽教室は全国に広く存在し認識されていました。そして、先生が見本を示して生徒が弾くというレッスンの基本形は50年前の当時も今もほとんど変わっていません。何か新しい技術革新により、レッスンでの音楽利用が著しく権利者を侵害するリスクが出てきたわけでもなく、前提条件に変化がない中で、何故著作権法の制定から半世紀近くもたって徴収を始めるのか理解できません。

音楽教室事業者にとって、著作物・著作権者を保護することは最も大切な価値観の1つであり、そのことに対しては何の異議も疑問もありません。支払うべきものは当然に支払わねばなりませんし、経営が苦しいから無理だというようなことを主張しているわけではありません。レッスンでの使用を前提としているはずのレッスン用教材・テキストに含まれる楽譜は、購入時にその使用料は支払い、さらにレッスンの成果を披露する発表会でも使用料を支払っており、全体としては適切な負担をしていると考えています。

もしこのままレッスンからも徴収された場合、私たち民間事業者はJASRACの管理楽曲を使わない方向に動かざるを得ないでしょう。クラシック曲などの著作権切れの曲だけを指導する教室やコースを準備することは実際に可能ですが、それは、お客様や子供たちが日々親しんでいる「弾きたい」と思う音楽でレッスンしないことになり、長期的には著作者にとっても不利益になると思われます。

音楽文化の発展には、演奏者を育成すること、音楽利用を促進すること、そして著作者の創作意欲を高めるために適切に権利保護を行うこと、の3つをバランスよく好循環で回す必要があります。JASRACが著作権保護の立場から音楽文化の向上に寄与してきた功績は認めていますし、適正な権利の保護があってこそ素晴らしい音楽が誕生するという考えは私どもとまったく共通するものです。そういう意味では「レッスンの演奏権云々」ではなくもっと大きな視野で音楽文化の発展のために、お互いに何が出来るのかを考えるべきだと思います。

今まさに新型コロナウイルス影響で音楽教室も含め音楽業界が未曾有の危機に直面しています。今一度業界全体で音楽文化発展の在り方への大きな道筋を描かなければならない局面です。そのような議論が進められるように努力していきたいと思います。

今後とも一層のご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

音楽教育を守る会 会長
大池真人

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河合楽器 日下昌和

2016年に開設60周年を迎えたカワイ音楽教室は、当初より『すべての人々が等しく音楽を手に入れ、充分に楽しむことができるように』『音楽を通じて個々のもつ様々な能力や可能性が生まれ、豊かな感性と人格が形成されるように』という理念を柱として参りました。

つまり、「広く音楽文化の振興に資する事業を行うことで、音楽文化の普及発展に努め」(JASRAC行動指針より)という意味では、JASRACとも志を同じくするものであると理解していますが、今般の「公衆に直接聴かせるのではない、教室内での手本としての演奏に対する著作権料徴収」の動きは、音楽文化の普及発展に資するという本来の目的とは異なるものであるように感じられ、われわれとしては賛成いたしかねます。

将来の音楽文化の担い手となる小さな音楽家たちの育成は、音楽文化の普及発展のための礎です。そして、彼らが自由に学べる場の提供は、われわれ音楽に関係する企業の社会的責任であると考えています。

株式会社河合楽器製作所専務取締役執行役員
営業統括本部副本部長兼国内統括部長
日下昌和

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ピティナ 福田成康

ピアノレッスンで先生が生徒に指導する時の演奏を「公衆の前での演奏」と解釈することには、無理があります。子ども向けの作品を書いている作曲家も、音楽教室でのレッスンから著作権使用料を徴収することに反対しています。

JASRACが極端な法解釈で著作権使用料を徴収しようとしたことをきっかけに、「音楽教育を守る会」が結成され、人々の著作権法への意識が高まりました。

JASRAC問題を解決したら「音楽教育を育む会」に名称を変更し、生涯学習社会における民間の音楽教育の役割が再定義できますことを願っております。

一般社団法人全日本ピアノ指導者協会専務理事
福田成康

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山野楽器 山野政彦

弊社は2017年に創業125周年を迎えました。1892年の創業以来、今日まで日本の音楽文化と共に歩み、音楽普及を通じて社会に貢献するという企業理念を貫いてまいりました。

その一環として、お子さまから大人の方までを対象とした音楽教室事業に長年力を注いできております。楽器を一人でも多くの方に楽しんでいただくには、年齢に関係なく何歳からでも楽器を学び始める機会、きっかけをご提供する、ということが重要です。音楽教室の存在は、未経験者、初心者の方々まで含めた多くの方に対する音楽教育の場であり、音楽人口、楽器人口の拡大に欠かせないものであると自負しております。音楽教室における先生や生徒の演奏は、指導や技能習得を目的としており、JASRAC が主張する演奏権とはまったく異なるものです。

さらにJASRACの、単に「学校法人になれば著作権料を徴収しない(つまり音楽学校だけが教育の場である)」という主張についても、とうてい理解しがたいものです。当社で学ぶ方の多くは、大人になって初めて楽器を学ぶ方です。企業が運営する音楽教室や、個人指導の先生方の存在が、どれだけ楽器の世界への敷居を下げ、すそ野を広げ、多くの方々に演奏の楽しさを知っていただく機会を提供しているか、ということがまったく理解されておりません。音楽教室事業を単なる楽器販売のための方策と捉えられていることに対し、大変残念に思います。

余談ですが、私も 50 の手習いでエレキギターを習い始めました。まだ2年ですが当社の音楽教室のおかげでエレキギターの楽しさに目覚めた一人です。個人的にも諦めていたギターを始め、日々が本当に楽しく、幸せに思っております。このような想い、楽器が弾ける喜びを一人でも多くの方に味わっていただくお手伝いを、当社としてはこれからも継続して行ってまいりたいと思っております。

お一人でも多くの皆さまが、私どもの活動にご賛同いただけることを心よりお願い申し上げます。

株式会社山野楽器 代表取締役社長
山野政彦

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ピティナのサイトに、作曲家の方などから寄せられたメッセージが掲載されています。

 ピティナ(一般社団法人全日本ピアノ指導者協会)

音楽教育の現場からの著作権料徴収を取り下げるための署名について

音楽教育の現場から演奏著作権料が徴収されるようになれば、レッスンで使用する楽曲の選択に影響が生じることで、音楽を学ぼうとする全ての人たちにとって、幅広いジャンルの音楽に接する機会が減少し、音楽愛好家や演奏人口の減少に繋がるおそれがあります。
また、将来的には次世代音楽家の輩出にも大きな影響を及ぼし日本の音楽文化の発展を阻害する結果となるなど、その社会的影響は大変大きいと考えられます。

音楽教育を守る会では、JASRACによる音楽教室からの著作権料徴収の動きに反対する署名活動を行い、57万名以上のご賛同の声を文化庁に提出しました。

・署名サイトChange.orgから賛同者のコメントがご覧になれます。

 音楽教育を守る会の考え方

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